こんにちは。あきばやコンサルティングの秋葉慎太朗です。
前回は、私自身がなぜコンサルタントとして独立したのか、その想いと原点について書かせていただきました。 今回はもう少し踏み込んで、「嫌な上司に出会った話」をテーマにしてみたいと思います。
ちょっとネガティブなタイトルですが、これは私にとって大きな学びになった経験です。そして、今の私の仕事にも大きく関わっているエピソードでもあります。
私は成田空港で働き始めた当初、ある上司のもとで業務を担当することになりました。その方は、社内でも“細かく厳しいことで有名”な存在で、ロジック重視、成果重視、スピード重視。曖昧なことは嫌いで、すべてに「なぜ?」「どうしてこうなった?」と詰めてくるタイプのマネージャーでした。
当時の私は、社会人になって間もない20代。右も左もわからず、資料の数字を間違えれば怒られ、進捗が遅れれば追及される。正直、毎日が胃の痛い日々でした。「また怒られるかもしれない」と思いながら仕事をしていた私は、徐々に報連相が遅れ、余計に信頼を失っていくという悪循環に陥っていました。
上司が厳しかったから悪い、という単純な話ではありません。今思えば、私自身にも未熟さや準備不足がありました。でも、心が追いつかなかったのは事実です。
その時の私は、「どうやったら怒られないか」「バレないように済ませるにはどうしたらいいか」という思考に偏っていました。仕事を前向きに捉える余裕もなく、ただ“こなすこと”に必死になっていたのです。
一番つらかったのは、自分の仕事に自信を持てなかったことでした。提出する資料すべてに「これで大丈夫かな」と怯え、指摘されたときには「やっぱりダメだった」と落ち込む。その繰り返しで、自分が空港で働く意味すら見失いかけていました。
正直に言えば、私はその上司が本当に苦手でした。
会社員時代、私はこの人の顔も見たくないと思っていました。退職のあいさつもせずに会社を離れたほど、心の距離がありましたし、当時の私は「絶対にこの人のようにはなりたくない」と思っていました。
厳しすぎる言葉、感情が伝わってこない接し方、自分の価値が否定されているようにすら感じていました。 「こんな上司が出世する会社にいたら、スキルアップはできない」と本気で思っていました。
ただ、最近になって、ふと心の中でその上司の姿を思い出すことがありました。研修講師として、コンサルタントとして、クライアントと向き合う日々の中で、あの人の厳しさの裏に、もしかしたら「本気で向き合おうとしていた姿勢」があったのではないかと、思い始めたのです。
確かに、当時は感情的にとても受け入れられなかったです。でも、その人がいなければ、私はここまで自分のキャリアや人生を真剣に見つめ直すこともありませんでした。
あの上司の存在は、私にとって“マイナスな感情”をもたらしました。でもその感情が、結果的に私を奮い立たせ、「絶対に自分はこうはならない」「もっと人に寄り添える自分でいたい」という覚悟を生み出しました。大きなキッカケですね。
そして今、私はこうして独立し、現場で悩む人たちと寄り添い、たまに向き合う立場になっています。
つまり、当時のマイナスの感情は、今のプラスの行動を生み出す種でもあったのだと、最近になってようやく気付いたんです。
今はその嫌な上司とも色々な距離ができてしまいましたが、今振り返ると、あの経験がなかったら、今の私はいなかったと思っています。
なぜなら、その時の「苦しかった自分」がいたからこそ、私は“人の気持ちに寄り添える支援”を大事にするようになったからです。
部下が報告をためらう上司。質問されるのが怖くて萎縮してしまうチーム。言いたいことを言えない会議室。そんな職場を一つでも減らしたいという気持ちは、私自身の原体験から来ています。
上司という立場は、ただ成果を出すだけでなく、「誰かにとっての未来のモデル」になる役割を持っています。
尊敬できる上司がいると、人はそこに希望を持ちます。「あの人のようになりたい」と思えたとき、人は変わろうとします。
逆に、「この人のようにはなりたくない」と思われてしまったら、どんなに制度や仕組みを整えても、部下の心は動きません。
だから私は、「嫌な上司をなくしたい」ではなく、
「尊敬され、憧れられる上司を増やしたい」
と思っています。
そのためには、マネジメントスキルだけでなく、感情の扱い方、対話の仕方、自分との向き合い方といった“内面的な成長”も不可欠です。
私自身、まだまだ未熟です。けれど、あのとき「嫌な上司」と感じた人の背中を、今では感謝の気持ちを持って見れるようになっています。もしかしたら、時間の経過が思い出を少し優しくしてくれているのかもしれません。
厳しさの中にある愛情、本気で向き合うという姿勢、それらを受け取れるようになった今、私も誰かの“ちょっと先を行く存在”でありたいと願っています。
これからもこのブログでは、現場で感じたこと、研修や支援の中で見えてきたリアルな想いを綴っていきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
いつか、もうちょっと自分に自信が持てたら…
あの時の嫌な上司に、伝えられていなかった退職の挨拶をしに行こうと思っています。