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モチベーションの低い職場はどこから変わるのか──“関係性の再生”という原点

空港ビジネスの「人・組織」価値増大コンサルタントの秋葉です。

私は空港で働いていた頃から、
「なぜこの組織は誰もボールを拾わないのか」
「どうすればもっと良くなるんだろうか」
というテーマをずっと考えてきました。

通信・給油事業などの保守運用、工事の現場など様々な現場を見てきた中で、
元気なチームと、明らかにモチベーションが低下しているチームの違いが
とても鮮明に見えてきたことがあります。

その経験と、今コンサルタントとして組織と向き合う中で、
「おそらくこれだ」と感じていることがあります。

組織は “関係性” が変わらない限り、動き出さない。
すべての改善は、ここから始まる。

ということ・・。

今日はその核心に触れていきたいと思います。


空港時代、会社全体としてよく見かけた光景があります。
新しい仕事の話になると、
「誰が責任を持つのか」「誰がやるのか」が真っ先に話題になっていました。

余裕がないのはまあ本当にその通りで、みんな日々の業務で精一杯でした。
ただ、その背景をよく見てみると

“ミスしたくない” という強い心理があったと感じています。

空港は小さな誤りが大きな影響を生んでしまいます。
私自身、工事の中で通信線を誤って切断してしまったときは、
「ど、どうしよう・・・」と焦りながら夜遅くまで対応することになり、安全と責任の重さを痛感した瞬間でした。

だからこそ、
「新しいことに手を出すのはリスクだ」
「現状維持こそが安全だ」
と感じてしまう気持ちはよく分かります。

でも、それが続くとどうなるか。
組織は静かに、しかし確実に停滞していきます。

・誰も新しいことに手を挙げない
・改善活動が止まる
・若手が委縮して挑戦がなくなる
・ベテランは疲弊し、前向きな意欲を失う
・「自分には関係ない」という空気が広がる

空港以外でも、同じような状態に陥っている組織は多いと思います。


一方で、人は「任せてもらえた」と感じた瞬間、驚くほど動き始めます。

私自身、少人数のチームで裁量の大きい仕事を任されたときは、
自然と「よし、やってみよう」と思えました。
信頼されている実感があると、主体性は勝手に生まれるんですね。

これはどの現場でも共通していて、
信頼がある場所では、チーム全体の空気が明るくなり、
主体的に動くメンバーが増えていくんですよね。

だからこそ、
組織改善の第一歩は “関係性” を良くすること。
これは間違いありません。


では、その関係性はどこから再生するのか。
ここが今日一番お伝えしたいところです。

複雑な制度改革の前に、
改善の本当のスタート地点はたった一つ。

“その人の存在そのものに感謝すること” から始める。

多くの職場では
「仕事をしてくれてありがとう」
「結果を出してくれてありがとう」
という “行動への感謝” が中心です。

もちろん大切なのですが、
組織が疲れているときに本当に必要なのは、こちらです。

「今日も来てくれてありがとう。」
「あなたがここにいてくれることに感謝しています。」

こうした “存在への感謝” です。

恩恵的感謝(行動感謝)と普遍的感謝(存在感謝)とも言われています。

仕事の成果ではなく、その人が今日そこにいてくれたこと。
それ自体に価値が、実はとってもあるんです。

多くの方は、人生の中でこうした言葉をほとんど受け取ったことがありません。
だからこそ、この一言は心を静かに揺さぶります。

「いつも元気でいてくれてありがとう」
「いつも挨拶してくれてありがとう」
皆さんの家庭でもそういうことを言われたら嬉しいですよね?
これは職場でも全く同じです。

人は「ここにいていい」と感じたとき、
自然と前向きな行動を取れるようになります。

安心 → 思考の変化 → 行動の変化 → 良い成果 → そして信頼の循環。

組織が明るくなる原点は、間違いなくここにあります。


仕組みや制度を変える前に、まずは人の心が動くこと。
そのための第一歩が、“存在への感謝” を伝えること。

難しいようでいて、本質はとてもシンプルです。

組織が疲れているときほど、
この一言が大きな力を持ちます。

「今日も来てくれてありがとう。」

ここから、組織は変わっていきます。
実際に研修などの現場でも見ていると、やはり関係性が良くなるとすべて良くなっていっています。

感謝の言葉を、いつもやってくれているその人にこそ、かけてあげてみてください。
きっと良い関係性が生まれますよ。