空港ビジネスの「人・組織」価値増大コンサルタントの秋葉です。
今日は、空港の現場で長く働いてきた経験から、“リーダーの聞く姿勢”についてお話ししたいと思います。
空港の現場では、判断の速さと正確さが求められます。
トラブル対応、調整業務、手順変更、イレギュラー。
一つの判断が安全にも品質にも関わるため、上司も部下も緊張感を持ちながら働いています。
その中で、チームが前向きに動き出す現場と、停滞してしまう現場があります。
違いを生んでいるものは何か。
私は、現場経験と研修での出会いを通して、ある一つの姿勢に行き着きました。
それが、
相手の違いを受け入れる「受容の姿勢」です。
「前も言ったよね?」の一言で、気持ちは閉じる
若手の頃、私は上司にこう言われたことがあります。
「前も言ったよね?なんで同じ間違いをするんだ?」
当時の私は、経験不足で見えていないことが多い状態でした。
上司には“当たり前”に見えていることでも、私にはまだ理解しきれない領域がありました。
その違いを前提にした対話ではなく、感情的なフィードバックが続いたことで、私はこう思うようになります。
「やっぱり自分は出来ないんだ」
「また指摘されるかもしれない」
すると、提案や相談をする気持ちは薄れ、
言われたことだけをこなすようになっていきました。
空港のように変化が多い現場では、
この“萎縮”ほど危険な状態はありません。
改善の芽も、異変の兆しも、そのまま表に出てこなくなるからです。
否定から入らない上司がくれた「安心して話せる空気」
一方で、別の上司のもとではまったく違う経験をしました。
相談に行くと、まずはこう返ってきます。
「こうしたらもっと良くなるかもね。」
まず否定せず、受け止めてから返してくれる。
もちろん案として未熟なものは、
「ここはもう一度考えてみようか」と返されることもありました。
しかし、その言い方には一貫して
「あなたの視点を大切にしている」という空気がありました。
一緒に作っていく感覚。
安心して話せる感覚。
自分を受け入れてもらえている感覚。
これらが揃うと、人は自然と前向きに動き出します。
リーダーの「聞く姿勢」が現場の質を決める
空港の現場は、
・経験差が大きい
・判断が速い人が評価されやすい
・トラブルに迅速に対応する必要がある
そんな環境だからこそ、上司が受容の姿勢を持たないと、すぐに空気が硬くなります。
すると以下の現象が起き始めます。
・若手の成長が止まる
・新しいアイデアが出ない
・改善活動が進まない
・“考える文化”が失われる
「意見が言えるかどうか」ではなく、
意見を受け止めてもらえると思えるかどうか。
ここが決定的に重要なのです。
受容するリーダーは、難しいことはしていない
受容はスキルではなく、態度です。
だからこそ、特別なことをする必要はありません。
1. 最後まで聞く
途中で遮らないだけで、相手は安心します。
2. 否定ではなく「前向きな返し」から入る
「ここはいいね」
「この視点は大事だよ」
この一言が、相手の姿勢を変えます。
3. 違いを受け止める
価値観・視点・経験が違っていて当然。
それを“間違い”として扱わない姿勢が重要です。
これだけで、職場の対話の質は大きく変わります。
空港現場で必要なのは「正しさ」よりも「受容」
空港の現場では「正しさ」を追求する場面が多いのは事実です。
安全・定時・品質──そのどれもが妥協できません。
しかし、
人と向き合うときに必要なのは“正論”ではなく“受容”です。
相手の意見に完全に同調する必要はありません。
反対意見であっても構いません。
大事なのは、
「まずはあなたを理解しようとしています」
という姿勢です。
それがあると、相手も自然と心を開きます。
結果として、質の高い議論が生まれ、現場の改善が進みます。
結び──違いを受け入れる姿勢が、空港の安全と品質をつくる
空港は、多くの職種と価値観が交わる場所です。
だからこそ、リーダーの「受容の姿勢」が現場の空気を決めます。
完璧さより、人への理解。
正しさより、誠実さ。
指摘する前に、まず受け止める心。
違いを受け入れる姿勢こそが、
空港の安全運用、品質向上、若手育成の土台になります。
日々の働き方の中で、
“相手を受容するリーダー”が少しでも増えることを願っています。
