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空港組織はなぜ縦割りになるのか?対話が安全と実行力を高める理由

空港ビジネスの「人・組織」価値向上コンサルタントとして、これまで空港現場と向き合ってきました。
その中で強く感じてきたのは、空港という組織の特性です。

空港は分業の集合体です。
リテール、施設、整備、グランドハンドリング、旅客サービス。それぞれが専門性を持ち、役割を担っています。
高度に専門化された体制だからこそ、安全と品質は守られています。
しかしその構造は同時に、部門間の分断を生みやすい側面も持っています。


部門間の摩擦はどこから生まれるのか

私が空港で働いていた頃、リテール事業と施設事業、施設管理と施設整備の間で業務範囲を巡る曖昧さがありました。
「これはどちらがやるのか」「そこまでやる必要はあるのか」という議論が続き、空気がぎくしゃくしていました。

当時の私は課員でした。
早く決めてほしい。
でも自分の仕事が増えたらどうしよう。
できれば早く帰りたい。

目の前の業務だけが仕事だと考え、会社全体の目的まで視野が広がっていませんでした。
(今思うと随分会社に依存していたなと感じます)

いま振り返ると、問題は業務分担そのものではありませんでした。
責任を負いたくないという心理が背景にありました。
責任を持って動いて失敗したら怒られる。評価が下がるかもしれない。立場が危うくなるかもしれない。
その不安が、「それはうちの仕事ではない」という言葉を生み出します。

縦割りは制度から生まれるのではなく、心理から生まれます。
業務所掌整理で何とか出来るものではないのです。


部分最適が全体最適を壊す

空港の現場は常に忙しく、安全最優先で動いています。
その結果、目の前の業務に集中し、単焦点になりやすい。

しかし経営層が見ているのは、空港全体の未来やブランド価値です。
この視点が一人ひとりに共有されなければ、部門は部分最適に向かいます。
部分最適の集合は、必ずしも全体最適にはなりません。

空港組織における縦割りの問題は構造というよりも視野の問題であることが多く感じます。


原因論から目的論へ

中小企業診断士としての学び、そしてコーチングスクールで触れたアドラー心理学が私の考え方を大きく変えました。
人は原因で動くのではなく、目的で動くという考え方です。

部門対立も同じでした。
相手は怠けているわけではない。自分の立場や評価を守ろうとしている。
その行動の背景には目的があります。

原因を探すことは重要です。
しかし、それだけでは関係性は変わりません。

あなたの〇〇が良くないのは△△が原因ですよ、改善してください。
と、言われてすぐにやる気が出てきますか?
出ない人が大半だと思いますし、改善するとして渋々やることが多いでしょう。

私たちは何を目指しているのか。
どんな空港をつくりたいのか。
そんな共通言語があれば対立は対話に変わります。
いっしょにもっと良くしていこう!だからさらに良い行動を取って欲しい。
そんな言葉に人は共感し、自立的に行動するようになっていきます。

空港組織改革に必要なのは原因論ではなく目的論です。


実行力が高い空港組織の姿

実行力が高い組織とは、制度が完璧な組織ではありません。
目的が共有され、安心して行動できる組織だと考えています。

責任逃れの発言がない。
ボールが落ちたら誰かが拾う。
拾った人を責めない。
部門を越えて当事者意識を持つ。

その空気が、結果として安全やサービス品質を強くします。

空港は安全最優先の現場です。
しかし安全は規則だけでは守れません。
関係性の質が安全を左右します。

対話が減れば想像力が減ります。
想像力が減れば相手の事情が見えなくなります。
小さな溝が、大きなリスクになります。

縦割りをなくすことが目的ではありません。
縦割りを越えて話せる場をつくることが重要です。


まとめ:空港組織の未来は対話で決まる

空港は多くの専門性が集まる高度な組織です。
だからこそ縦割りは自然に生まれます。
しかし、そのまま放置すれば実行力は低下します。

必要なのは、目的を共有し、対話できる空気を意図的につくることです。
原因論ではなく目的論で語れる組織になること。
部門間連携を強め、当事者意識を育てること。

制度を変える前に、空気を整える。
空港という複雑な現場だからこそ、対話の質が未来を決めます。

私はこれからも、空港と共に働く人たちが誇りと実行力を持って動ける環境づくりに取り組んでいきます。
空港組織の可能性は、まだまだ広がっていると信じています。

エアポート人財育成の専門家。11年間の成田空港での経験と中小企業診断士の知識を元に、人と組織が明るく成果を生み出す研修や組織変革の支援を行っている。人間力と組織力を向上することで、新事業展開や魅力ある職場づくり、委託元のレビュー向上に繋げます。

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