こんにちは、あきばやコンサルティング代表の秋葉です。
週次や隔週で導入されることが多い1on1ミーティング。しかし「とりあえず実施しているが手応えが薄い」「部下が本音を話さなくなった」といった声が現場から相次ぐケースも少なくありません。多くの場合、原因は“評価(査定)”と“対話(支援)”の目的が混ざったまま運用されていることにあります。本稿では、その混線が引き起こす代表的な4つの問題を整理します。
1. 相談がただの雑談で終わる
現象
- 上司:雑談でアイスブレイク → 時間切れで「また来週」
- 部下:具体的な課題を持ち込めず、日常報告のみで終了
影響
- ミーティング目的が曖昧なまま回数だけ増加
- 行動変化や成果とのひも付けが不明確になり、「やっている感」だけが残る
- 部下は「結局、何を相談していい場なのかわからない」と感じる
2. 上司の“講義化”で双方向性が消える
現象
- 1on1が上司の指示・アドバイス一方向になり、部下の発言が極端に少ない
- 「以前も言ったよね?」という説教モードで時間が消費される
影響
- 上司は“説明責任を果たした”と感じるが、部下は受け身のまま
- 発言量・思考量が不足するため、部下側の課題発掘が停滞
- 「どうせ上司が決める」という学習性無力感が蓄積し、主体性が減衰
3. 目標と日々の行動がリンクしない
現象
- 期初に立てたKPIやOKRが1on1でほとんど話題に上がらない
- 代わりに「今抱えているタスクの遅れ・愚痴」だけが常連テーマになる
影響
- 中間期末で評価ランクを決める際、上司・部下双方が「何を根拠に評価するか」で食い違う
- 部下は「評価会議で突然突きつけられる」感覚が強くなり、納得度が低下
- 組織全体で目標マネジメントサイクル(Plan→Do→Check→Act)が崩れる
4. フォローアップが不在で“言いっぱなし”文化が定着
現象
- 前回1on1で挙がったアイデアや課題が次回には忘れ去られている
- メモやログが個人PCに散在し、関係者が共有できない
影響
- 「話しただけ」で改善が止まり、同じ課題がループする
- 部下は「どうせ実行しなくても咎められない」と学習し、実行責任感が希薄化
- 結果として1on1が“負債情報の集積場”となり、時間コストだけが膨らむ
終わりに
1on1は本来「部下が自ら課題を言語化し、行動アイデアを練る場」です。しかし評価目的と混線すると、雑談化・講義化・指標逸脱・フォロー欠如といった問題が連鎖します。導入後「手応えがない」「本音が出ない」と感じる場合は、まず何を目的とした場なのか/何を目的としない場なのかを棚卸しし、混線ポイントを可視化することから始める必要があります。
歳を取ると話が長くなるのは、自分の経験の中で伝えたいことが増えるからでしょう。
1on1は相手(部下)の時間であることを意識して、アドバイスは相手が求めて来ている時のみ話してあげましょうね。