こんにちは、エアポート人財育成の専門家・秋葉慎太朗です。
今回は 「口数が少なく、なかなか心の距離が縮まらない部下・若手と、どう関わればいいか」 をテーマにお届けします。現場では、「遠慮がちなメンバーとの距離感がつかめない」という声を本当に多く耳にします。私自身、高校時代は “周りをじっと観察してから動くタイプ” でしたので、その気持ちはとても分かります。
1.“遠慮がちな人”が抱えている3つの本音
本音 | 具体的な心の声 | マネジャーが見落としがちなポイント |
---|---|---|
① 安全を確かめたい | 「この職場で自分らしく話して大丈夫?」 | “話さない=やる気がない” ではなく“観察フェーズ”の可能性 |
② 納得材料を探している | 「なぜこれをやるのかが腑に落ちれば動ける」 | 指示の背景(WHY・目的)が足りないと動機づけが弱い |
③ 小さく試したい | 「失敗せずに成果を出せるサイズはどこ?」 | いきなり大役を任せても踏み出しにくい |
遠慮がちな人ほど、「安全 → 納得 → 挑戦」という順でスイッチが入ります。逆にこの順番を飛ばすと、距離はなかなか縮まりません。
2.私自身の“観察モード”体験
高校生のころ、最初のうちは成績がパッとしませんでした。雰囲気を掴むまでは、授業への興味も上がり切らなかったからです。私がやる気スイッチが入ったのは2年生の時にチャレンジしたオーストラリア留学の経験でした。(2週間と短いですが・・笑)
- 安全 :高校生が集団での留学で、受け入れ経験豊富なステイ先
- 納得 :その時の自分にとって、必要な成長である
- 挑戦 :未知へのチャレンジ
この3条件が揃ったチャレンジが終わった後、勉強への集中力も上がり始めたのを覚えています。適応が遅いタイプでも、タイミングと環境次第で伸びる――その原体験は、いま研修を設計するときの大切なヒントになっています。
3.“距離が縮まらない”をほぐす3つのアプローチ
手法 | ねらい | やり方のコツ |
---|---|---|
① 雑談で興味の芽を探す | 安全感を高める | 日常の小ネタから「最近ハマっていること」を聞き出す。深掘りは次回に持ち越すくらいで十分。 |
② WHY→HOW→WHAT の順でタスクを渡す | 納得を先に | 「なぜ」「どこがゴールか」を必ず先に共有し、HOW・WHAT(やり方・具体タスク)を後から示す。これ結構大事です。 |
③ “Good as new” ミニ共有 | 小さな挑戦と承認 | 週1で「最近うまくいったこと」を各自1分で紹介。スライド不要、口頭でOK。 |
これらは大がかりな制度変更ではなく、“声をかける順番とサイズ設定” の工夫です。遠慮がちな人でも「試してよかった」と感じると、次の半歩が早くなります。
4.安全意識とワクワクは両立できる
遠慮がちな人は、ときに「慎重すぎる」と見えるかもしれません。しかし逆に言えば、リスクを察知しやすく安全意識が高い 側面でもあります。
- 安全を守りながら 小さく挑戦し、
- 成功の実感がワクワクを呼び、
- 新たな提案や行動につながる。
この流れが作れれば、「安全」と「ワクワク」はむしろ相乗効果を生みます。
組織においては、アクセルを踏む人とブレーキをかける人のバランスが大事です。
5.まとめ:リズムが違うだけ、潜在力は同じ
- 口数が少ない=やる気がない、ではない
- 安全 → 納得 → 挑戦 の順で働きかけてみる
- 成功体験が“希望に満ちる”空気を生み、行動が続く
遠慮がちな部下との距離感に悩むときは、まず**“半歩先の安心”** を整えてみてください。意外なほど早く、芯の強い成長を見せてくれるかもしれません。
笑顔と誇りにあふれ、愉しく働けることを当たり前にする。
リズムの違いを尊重することが、その一歩になると私は信じています。