エアポート

空港の外から空港を良くしてくれという言葉

エアポート人財育成の専門家、秋葉慎太朗です。

独立して間もない頃の私は、自分が何をすべきかを模索する毎日でした。
「ITコンサルタントとして地域を元気にする!」と勇んで独立したものの、
実際のところ、何から始めればいいのかも分からない。
求められる仕事も、どこにチャンスがあるのかも、見えていませんでした。

そんなある日、前職の通信職の仲間が集まる飲み会が開かれると聞き、
半分気まぐれで顔を出してみることにしました。
久しぶりに会う懐かしい方々との会話は楽しく、あっという間に時間が過ぎていきました。


楽しく話が弾む最中、ふと、当時の上司が私の方を見てこう言いました。

「秋葉は空港の外から、空港を良くしてくれ。」
「俺たちは中から空港を良くしていくから。」

その瞬間、胸の奥が少し熱くなりました。
正直、上司がどこまで意図して言ったのかは分かりません。
お酒の席の、何気ない一言だったのかもしれません。
けれど当時の私には、その言葉が深く刺さりました。

「空港を辞めた自分を、まだ必要としてくれているんだな・・・」
そう感じたのです。


当時の上司は、仕事には厳しいけれど、根っこはとても温かい人でした。
一緒に苦労を重ねた仲であり、私にとっては“背中で語るタイプ”の尊敬できる方でした。
(本当に色々とトラブルはありましたが笑)


そんな人から「外から空港を良くしてくれ」と言われたことが、今でも私の中に強く残っています。


それ以来、私はずっと「空港を外から良くする」という言葉を意識してきました。
それは、ターミナルを増やすとか、設備を新しくするという話ではありません。
空港で働く人たちが、もっと明るく、愉しく、笑顔で誇りを持って働けるようにすること。
それこそが、空港を良くすることだと思うようになりました。

空港は巨大な仕組みのようでいて、実は多くの“人の力”で支えられている場所です。
整備、清掃、案内、警備、リテール……。
それぞれの仕事に誇りを持って働く人たちがいるからこそ、あの大きなシステムは動いている。


独立してから数年経った今でも、その言葉は私の中で息づいています。
何かに迷ったとき、立ち止まりそうなとき、心の中でいつもあの声が聞こえます。
その言葉を投げかけてくれた方はもうご勇退の年齢です。
最後の最後に、私に道を示してくれたのかもしれません。

私はこれからも、空港で働く人たちが心から笑顔で、誇りを持って働ける場所を増やすために、
空港の外から、空港と共に歩み続けていきます。