こんにちは。あきばやコンサルティングの秋葉慎太朗です。
今回は「無駄に見える“点”を、どう線へつなぐか」というお話をお届けします。
1.はじめは“モテたい”一心で買い集めた二十代
二十代半ばの私は、青山のセレクトショップで仕立てた上質ウールのジャケットと、憧れのアットリーニを手に入れることに喜びを感じていました。
動機はシンプルに「格好良く見られたい」。給料とボーナスをつぎ込み、クローゼットには高級服が並ぶ。けれど、当時の私は些細な数字を間違えて叱られ、仕事に対する自信など微塵もない。目立つのが嫌で職場にはまったく着て行かず、週末だけ袖を通して鏡の前で悦に入り、「これは浪費かな・・」とうしろめたさを抱える――まさに“使い道のない点”でした。
2.退職直前、雑談の延長で訪れた“初出社”の機会
転機は退職を控えたある日の昼休み。社内の雑談で「実はファッションに拘っていて・・・」と話したところ、先輩たちから「せっかくだし一度着てきてよ!」と背中を押されました。
翌朝、意を決してアットリーニを羽織り出社。みんなは「おお~これが〇〇万の・・良いんじゃない」と笑顔。退職直前ということもあり、怖いものはなかったのですが、想像以上に温かい空気でした。これが “浪費の点” が初めて光った瞬間 です。
3.独立後、相棒として再デビュー
コンサルタントとして独立した今、あのウールジャケットとアットリーニは 「気合を入れたい企業研修の日」に選んで、研修会場へ向かっています。鏡にうつる自分を見て、胸がぐっと開く感覚――
それは今日一日をともに明るくしてくれる相棒 です。どんな研修でも一番初めは緊張します。それでも、研修で自分に自信を持って立てるのは、当時浪費と考えていたファッションたちの力もあります。もし当時ストリートブランドに散財していたら、この効果は得られなかったでしょう。
4.振り返れば、無駄な点はひとつもなかった
あの頃クローゼットに眠っていたジャケットは、いま研修現場で私の背中を押し、クライアントや研修受講者との会話を弾ませています。
思い返せば、この数年で線につながった“点”は服だけではありません。
- 深夜のシステム切り替えがうまくいかず、昼間まで残って仕事をしたこと
→ いざという時に肚を決める覚悟ができました。 - 先輩の早すぎる訃報
→ 「無難に生きるのをやめよう」と診断士試験へ突き動かしました。 - 独立直後、家計を支える不安と夫婦バトル
→ 相手に優しくしてもらうためには自分から…鏡の法則が身につきました。
その瞬間は痛みや後悔に包まれていても、少し時間を置くとその背景が見え、意味が芽を出します。点は、時間というインクが乾いたあと、初めて線として浮かび上がるのだと感じます。
5.その“点”を活かせるのは、自分だけ
ジャケットも失敗も寄り道も、外から見ればただの点です。「これは浪費だ」「あの失敗は痛手だ」と決めつけた瞬間、その点は塗りつぶされて終わります。けれど、
「いつか別の場面で生きるかもしれない」
と少しだけ前向きに捉えて記憶に残しておけば、チャンスが来たとき線に変えることができます。
意味づけをするのは自分の役目であり、権利でもある。
そう考えると、今日の出来事も少しだけ輝き始めませんか?
スティーブジョブズの言葉を胸に
「将来を見すえて点と点を結ぶことはできません。あとから振り返って点は線になります。だから今は、その点を信じて進むしかないのです。」
あの有名な、2005年にスタンフォード大学で卒業生に向けて行ったスピーチの一文です。Connecting the dotsとも呼ばれています。
結局、どの経験が生きてくるかは後から振り返った時にしかわからない。
だから、未来を信じて進もう。
良い言葉ですよね・・・歴史に残る名スピーチですので、機会あればぜひ見てみてください。あなたの人生に大きなエールを送ってくれます。
浪費と思いかけたジャケットは、いま私の自信スイッチです。あなたの人生の“点”も、まだ眠っているだけかもしれません。どうか捨てずに、ポケットに入れておいてください。いつか線になる日を信じて。