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「若手に任せる」は限界です──40〜50代こそ身につけたい IT リテラシー“並走力”

こんにちは。あきばやコンサルティングの秋葉慎太朗です。
今回は、40〜50代のミドル世代が IT リテラシーを高める必要性と、その実践ステップについてお話しいたします。


1.いつの間にか若手が抱える“静かな残業”

「Teams の会議招待、若手がやってくれるから大丈夫」
「フォーマット調整は詳しい人に任せればいい」

こうした“お任せ発言” が続くと、現場では次のような歪みが起こります。

  1. 雑用化の負担
     ファイルの微修正や資料変換が若手に集中し、本来の業務時間が圧迫されます。
  2. 提案ブレーキ
     「上司が理解しないから」と若手は委縮し、DX提案 や自動化提案の芽が育っていきません。
  3. 学習格差
     若手は日常的にアップデートしますが、ミドル世代が学習を止めると“情報の段差” が生まれ、プロジェクトが滞ります。

私は過去の経験や現場支援で、「月に 10 時間以上が“IT雑用” に消えている」という声を何度か聞きました。これは見えづらいコストですが、放置すると組織の学習速度を確実に下げてしまいます。


2.“並走世代”へのシフトが鍵

IT リテラシーの目標は「全部マスターする」ことではありません。
若手と並走できるレベル を目指すだけで、組織全体のスピードは大きく変わります。

丸投げ型並走型
分からないことを隠す分からないことを言語化し共有
若手の提案を先送り「一緒に試そう」で即テスト
学習は後回し毎日 10 分だけ触ってみる

3.今日からできる3ステップ

ステップ1:わからないリストを公開する

Google スプレッドシートなどに「教えてほしい IT リスト」を作り、ミドル世代自ら書き込みます。
例)「PDF 内の文字検索」「Excel の PowerQuery」。具体的にするほど、若手はピンポイントで教えられ、ストレスが減ります。

ステップ2:毎朝 10 分“いじってみる”

メールチェックの前に 10 分だけ、生成 AI やクラウド共有を触ってみてください。自分の業務ファイルで試すと、次の会議で若手が出す専門用語が“聞き取れる”ようになります。

ステップ3:学びを見える化して共有

学んだ操作を A4 1枚にまとめ、部内チャットに「○○をやってみたメモ」と投稿します。若手は「上司もキャッチアップしている」と感じ、提案への心理的ハードルが下がります。


4.過去事例

  • 定期的にチャットにデジタル学習の結果を報告(今月はDXパスポートについて学んだ…etc)
  • 若手は「ちゃんと学ぶ意欲があるんだな」と理解
  • ミドルは「若手とのコミュニケーションが少しやりやすくなった」

ポイントは、上司自ら「学ぶ人」であると見せたことです。
現場に「一緒に試す」空気が生まれました。


5.まとめ

  • 任せきり は、雑用化・提案ブレーキ・学習格差という“静かな赤字”を生み出します。
  • 40〜50代が わからないを見える化し、10 分だけ触り、学びを共有 することで“並走世代”へ変わります。
  • 並走が始まると、若手は安心して提案し、組織の学習速度が加速します。

IT は若手だけの言語ではありません。世代をつなぐ共通語に変えるか、分断語にしてしまうかは、ミドル世代の一歩にかかっています。
まずは明日の朝、メールチェックの前に 10 分だけキーボードをたたいてみませんか?