エアポート人財育成の専門家、秋葉慎太朗です。
企業の経営者や人事担当者からよく聞く悩みがあります。
「社員が指示待ちになってしまう」
「自分から動いてくれない」
そんな声を聞くたびに思うのは、主体性の欠如は組織全体を弱くするということです。
主体性が欠けるとどうなるか
主体性がない組織では、判断が常に上司任せになります。
すると対応が遅れ、挑戦が生まれず、組織は停滞していきます。
顧客に提供できる価値も徐々に下がってしまいます。
逆に主体性が育つとどうでしょうか。
社員一人ひとりが「自分の仕事は誰かの役に立っている」と感じ、小さな改善や提案を重ねていきます。
その積み重ねが大きな成果となり、チーム全体の空気が前向きに変わっていくのです。
主体性の前提条件:自己受容と他者受容
では、どうすれば主体性は芽生えるのでしょうか。
私はこれまで多くの研修を通じて、一つの答えにたどり着きました。
主体性が芽生えるためには、上司が「自己受容」と「他者受容」を実践していることが不可欠だということです。
なぜなら、自己受容ができていない人は、他者受容ができないからです。これは私が様々な人を見てきて、確信に近いものを感じています。
完璧主義に陥り「自分はもっと出来なければならない」と追い込んでいる上司は、部下の失敗を受け止める余裕がありません。
逆に、自分の未熟さや弱さを認められる上司は、相手の不完全さも受け入れられるのです。
未熟な自分を受け入れること。
それがはじめて他者を受け入れる第一歩となり、安心感が生まれます。
この安心感が、部下の主体性を引き出す土台になるのです。
変化は上から下へ伝わっていく
研修の現場で実感するのは、変化はトップダウンで連鎖していくということです。
管理職が「自己受容」と「他者受容」を実践できるようになると、次に変わるのは現場のリーダー層です。
リーダーが安心して挑戦できる空気をつくると、スタッフも自然と自分の意見を出すようになります。
こうして主体性の輪が広がり、組織全体が活性化していきます。
私はその流れを何度も見てきました。
「主体性がない人材」など存在しません。
ただ、それを引き出せるかどうかは、上司の姿勢にかかっているのです。
明るい一体感を育むために
主体性が育つためには、
- 安心できる場(否定されない・受け止められる)
- 仲間とのつながり(支え合える)
- 成長感(挑戦が認められる)
この3つが必要です。
私はこれを「明るい一体感」と呼んでいます。
一人ひとりが自分の力を発揮しながら、周囲とつながり、成長を実感できる。
そんな環境が整えば、主体性は自然と芽生えていきます。
結びに —— 組織への呼びかけ
主体性は特別な才能ではなく、誰もが持っている力です。
それを引き出すためには、まず組織が「安心感」と「受容の文化」を育むことが必要です。
管理職が変われば、リーダーが変わり、スタッフが変わり、やがて組織全体が変わります。
だからこそ、主体性を育てる組織づくりに本気で取り組むことが、これからの企業の成長を左右するのです。
私は、そうした変化の先に、愉しく働ける幸せな社会が待っていると信じています。
