魅力的な人財

安心して挑戦できる職場は、なぜ生産性が高いのか

自分の癖を知り、色眼鏡を外すことから始まる。

エアポート人財育成の専門家、秋葉慎太朗です。

最近、企業研修や現場支援をしていて強く感じることがあります。
それは、「安心して発言できる職場」ほど、挑戦が生まれ、成果も高いということです。


安心して意見が言える職場と、そうでない職場の違い

私はこれまで、空港の現場から企業の管理職層まで、さまざまな組織を見てきました。
その中で「安心して意見を言えるチーム」と「言えないチーム」には、明確な違いがあります。

安心できる職場では、リーダー(マネージャー・部長など)が様々な意見を受け入れ、
“押し付けない姿勢”を徹底していました。
どんな意見もまず受け止めた上で、「じゃあどうすれば良くなるか?」を一緒に考える。
そんな風土があるチームは、メンバーの顔が明るく、発言も活発です。

一方で、そうでない職場では、表面上は活発に意見が交わされているようで、
実際にはマネージャーの機嫌を伺いながら話す状態になっていました。
決定権を持つ人が聞く耳を持たず、自分の意見を押し付けてしまう。
好き嫌いで判断してしまう。
そうなると、どんなに優秀な人が集まっていても、誰も本音を言えなくなります。

「言っても変わらない」
「また機嫌を損ねるかもしれない」
そんな空気が広がると、組織は静かに衰退していきます。


心理的安全性は“ぬるま湯”ではない

「心理的安全性」という言葉を聞くと、
“甘やかすこと”だと誤解されることがあります。

でも、本質はまったく違います。
心理的安全性とは、本音を交わし、建設的にぶつかれる環境のことです。

安心して意見を出し合えるからこそ、
現状を見つめ直し、改善や挑戦が生まれる。

空港の現場でも同じです。
トラブル対応のうまいチームほど、日常的に対話が多く、
「誰が言っても受け止めてもらえる」という信頼がありました。
安心は、挑戦の前提条件なのです。


受容から信頼が生まれる

安心して意見を言える職場をつくるために、最も大切なのは「受容」です。

まずは自分の癖を知ること
「つい否定から入ってしまう」
「正しさを押し通そうとしてしまう」
そんな自分に気づくことが出発点です。

次に、色眼鏡を外すこと
「この人はいつも遅い」「あの人は頼りにならない」——
そんな思い込みを手放すと、相手の本当の良さが見えてきます。

そして、相手を受け入れること
できていないところを責めるのではなく、「どうしたらできるか」を一緒に考える。
この関わり方が、信頼を生むすべての始まりです。


安心が挑戦を生み、挑戦が成長を生む

安心できる環境は、現状維持ではなく“挑戦の土台”です。
安心して失敗できるからこそ、人は一歩踏み出せる。
一歩踏み出すから、成長が生まれる。

この連鎖がある職場ほど、自然と生産性が高くなります。
安心×挑戦=成長。
これは空港でも、企業でも、どの現場でも変わらない真理だと思います。


結びに

組織が変わるとき、人が変わります。
そして、人が変わるとき、その背景には必ず「受け入れてくれた誰か」がいます。

安心できる職場は、リーダーの優しさだけではつくれません。
受容と覚悟の両輪があるからこそ、挑戦が生まれる。

今日も現場で、一人ひとりが自分の想いを安心して語れるように。
そんな“明るい一体感”を生む職場を、これからも増やしていきたいと思います。